【ダイの大冒険】熱いサブタイトル選(原作ネタバレなし)
2019年に再アニメ化が発表され、2021年2月現在2クール目が放送されている「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」。
ジャンプ黄金期の「友情・努力・勝利」を地でいくストーリーはそのままに、作画、キャストが現代版にブラッシュアップされ、放送のたびにファンから反響を呼んでいます。
私はかろうじてリアルタイムで昔のアニメ版を観たことがあり、文庫版で一気にハマりました。
感情豊かなキャラクターたちの織りなすバトルや熱い絆、心からの叫びに何度涙したことか…。ちょうど人生で辛い時期に読んだのもあり、心の支えとなった作品でもあります。
2月20日放送の第20話「今すべてを斬る」では、ついに主人公ダイが最大の必殺技・アバンストラッシュを完成させました。
魔王軍団長のフレイザードとの闘いも決着がつき、ひとつの節目となった回でした。
ダイの大冒険というと、影の主役と呼ばれるポップやハドラー、今でいうタンク役のクロコダイン、数々の名言がよく注目されています。
今回私が注目するのは、「サブタイトル」です。
放送した話のネタバレを含みますが、今後放送予定の原作ネタバレはありません。
今アニメの「神回」は原作と同じサブタイトル
原作には各話サブタイトルがあり、以下のサイトから一覧を見ることができます。
昔のアニメ版も原作のサブタイトルを度々用いていましたが、今回のアニメ版はよりシンプルに、要所で原作のサブタイトルを取り入れています。
そして今アニメで、原作のサブタイトルがほぼ忠実に使われている回は「神回」なのです。
例えば第5話「アバンのしるし」。ダイやポップが師・アバンから一人前の証であるお守り、アバンのしるしをもらうシーンが描かれました。
アバン先生の身を案じてべそをかくポップ、それを諭すアバン先生の言葉。ダイたちを守るため、命を賭してハドラーとの闘いに挑むアバン先生の勇姿。メガンテの瞬間はアニメ独自のにくい演出もあり、印象的な回でした。
また、外せないのが第9話「ひとかけらの勇気」です。
ロモス王国を襲撃する、クロコダイン率いる百獣魔団に恐れをなすポップ。ロモス城でのクロコダイン戦でピンチに陥るダイとマァムの様子をニセ勇者一行のまぞっほに見せられ、気持ちが大きく揺らぎます。
まぞっほの後押しもあり、ポップはダイたちのピンチに駆けつけ、単身クロコダインに立ち向かい、ボロボロになりながらも闘いの障壁となっていたブラスの正気を取り戻すことに成功。魔王軍の卑劣な手段や仲間を傷つけられたことに怒ったダイが必殺の一撃をクロコダインに放ち、勝利を収めます。
それまでは闘いに及び腰、ダイを置いて逃げ出すといった素振りが目立っていたポップでしたが、葛藤の末涙を滲ませダイたちの元に向かい、強敵クロコダインや己の臆病な心と懸命に闘いながら活路を見出す姿に、私はずっと涙が止まりませんでした。
原作でも感動的なエピソードで、アニメではポップ役の豊永利行さんの演技が相まってより盛り上がる回となりました。
大人になってダメな自分を思い知ると、ポップが頑張る姿は胸にぐっと来るものがあります。この回は落ち込んだ時にもう一度観て、その時もボロボロ泣きながら観ました。
そして今回の第20話「今すべてを斬る」です。
アバンストラッシュについて、アバン先生はこのように述べています。
大地を斬り、海を斬り、空を斬る…
そしてすべてを斬るのが、アバンストラッシュなのです…!
大地斬、海波斬はアバン先生との修行で習得していたものの、残りの「空裂斬」は習得に苦戦していたダイ。前話でようやく習得し、ついに完全なアバンストラッシュが炸裂。まだストーリー全体では前半とはいえ、ダイの成長を見守ってきた視聴者としては感慨深いものがあります。レオナを助けるために紋章の力を発動させるダイの想いも胸に迫るものがありました。
上記の3話は、どれもストーリーを集約したサブタイトルです。原作を読み込んでいると、次回予告で「キター‼︎」と思わず感極まってしまうほど印象深いタイトルなのです。
今後採用されるかもしれない、熱い原作サブタイトル
ここからは、ネタバレしない程度に今後使われそうなサブタイトルを挙げます。本当はネタバレ込みで紹介したいところですが、私がネタバレを避けて純粋に楽しみたい人間なので、伏せておきます。
・一瞬にすべてを…!!!の巻
「今すべてを斬る」に近い、ストレートにかっこいい響きです。ただ今アニメでは、原作に多用されている「…」や「!」表記がほとんど見当たりません。採用されたらもっとシンプルになると思います。
・その人の名は…‼︎の巻
意味深なタイトルですが、エピソードとしてはとても重要な回です。この話のキーキャラがもうすぐアニメでも出てくるので、個人的にはキャストの方が誰なのか楽しみです。
・反逆児ヒュンケル‼︎!の巻
一見クールですが熱情を秘めたヒュンケル。今アニメでは梶裕貴さんの繊細な演技が一際目立ちます。
この回ではある意図をもって、ヒュンケルが特定のキャラに対して反抗的な態度を取ります。アバンの使徒の中でも自身を「長兄」と名乗るヒュンケル。ここからの彼の闘いは一層凄まじいものになります。
・閃光のようにの巻
ある名言が放たれる回です。私も大好きなセリフで、文庫版で読んだ時はストーリー全体を通して最も心に残りました。かなり終盤なのですが、是非ともアニメで聞きたいセリフです。
・神の涙の巻
神の涙とは何ぞや、という感じですが…この回は思い出すだけで涙ぐんでしまいます。アニメで観る日には号泣必至です。
ネタバレなしの熱いサブタイトル紹介は以上です。紹介できなかったものも含め、原作者の三条陸先生がこだわって付けていたのがうかがえるものばかりです。
アニメではどうしても視覚的・聴覚的な部分に注目してしまいますが、原作ではサブタイトルの他にも言葉遣いにこだわりがみられます。「勝て」→「克て」、「行く」→「征く」など…。
原作の最後までアニメ化するとなると、ざっと見積もって2年はかかると思われます。その間アニメだけでなく、原作の「ダイ大」に触れる際は、サブタイトルの秀逸さにも注目です。